女王様のため息


それでも、司はふっと真面目な表情を作ると。

『結婚しても真珠はきっと今までと同じペースで仕事に励むでしょうから、これからもよろしくお願いします』

深く頭を下げる司に、慌てて私も頭を下げた。

私と気持ちを通わせて以来、全くぶれる事のない司の態度は一貫していて、私の側からは絶対に離れないという強い思いに満ちている。

会社にしてみれば、私の存在よりも、司が持っている才能を育てていく事の方が大切だとわかるのに、それでも司は意に介さず、私と一緒に過ごす時間を選んでくれた。

単に私を愛して側にいるってことは、会社人としての自分の将来をある意味潰す可能性も持っていたのに、ほんの少しも迷う事なく私を選んでくれた司には感謝しかない。

異動が決まって不安定になっていた私の精神状態を落ち着かせてくれたのは、もちろん司で、これまでよりももっと彼の事が好きになった。

私の状況がどうであれ、変わる事ない愛情を注いでくれると実感させてくれる司に惚れて惚れて。



「部長、私仕事やめます」



何の迷いもないと言えば嘘だけれど、はっきりとそう言った。


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