キリと悪魔の千年回廊 (りお様/イラスト)
「レイヴン(渡鴉)なんてのも実名じゃないだろうから、エスメラルダの魔法使いの二つ名と違って完全に偽名っぽいし。
自分でそう名乗ってるか、周りの人がそう呼ぶようになったのかわかんないけど……単にエスメラルダの有名な魔法使いたちのマネをして、【黒のレイヴン】って名付けただけだと思うよ」
ラグナードはそうなのかと思ったが、
エスメラルダの魔法使いではないにしても、あやしすぎる手紙には違いないという気がした。
「まあ、議会でも真偽のあやしい手紙だという声は当然あったがな」
と、イルムガンドルはラグナードの考えを読み取って肩をすくめて、
「しかし【渡鴉】の名が決め手になった」
そんなことを言った。
キリも「黒のレイヴンはそんなことしない」などと口にしていたが、ラグナードにはどうしてこの名前が決め手になったのか理解できず、眉をひそめた。
「宮廷魔術師の間から、渡鴉に任せてみようという意見が出た。
先に報酬をよこせなどと言っているわけでもなく、手紙にはあくまで『パイロープから異変が取り除かれたあかつきには報酬を受け取りにいく』とある。
渡鴉をパイロープに向かわせて、仮に失敗したところでこちらの損害は何もないのは確かだし、
差出人がまことに渡鴉ならば、パイロープを何とかしてくれるに違いないとな」
「だから、どうしてそうなるんです?」
「黒のレイヴンっていう魔法使いはね、世界のあちこちを旅していて、魔法がらみの厄介事があるとやってきて困ってる人を手助けしてくれることで有名なんだよ」
けげんな表情のままのラグナードに、キリが説明した。
「報酬を要求したりしなかったり、面倒事があるからって必ず助けてくれるとも限らなかったり、気まぐれな魔法使いみたいだし、
何の属性の魔法使いなのかも全く不明だけど、
でも、並の魔法使いにはどうにもならないようなことでも、レイヴンが現れてまさに『魔法みたいに』解決してくれたって話がいっぱい……」
「そんなばかな」
この現代に、物語に登場する賢者のようなことをしている魔法使いが存在するなど、ラグナードには信じがたかった。
「こんな時勢に、困っている人間を助けて旅をするなどと、自分のためにならないマネをする魔法使いがいるのか?」
「うーん、それはどうかなあ」
キリは複雑な笑いを作った。
自分でそう名乗ってるか、周りの人がそう呼ぶようになったのかわかんないけど……単にエスメラルダの有名な魔法使いたちのマネをして、【黒のレイヴン】って名付けただけだと思うよ」
ラグナードはそうなのかと思ったが、
エスメラルダの魔法使いではないにしても、あやしすぎる手紙には違いないという気がした。
「まあ、議会でも真偽のあやしい手紙だという声は当然あったがな」
と、イルムガンドルはラグナードの考えを読み取って肩をすくめて、
「しかし【渡鴉】の名が決め手になった」
そんなことを言った。
キリも「黒のレイヴンはそんなことしない」などと口にしていたが、ラグナードにはどうしてこの名前が決め手になったのか理解できず、眉をひそめた。
「宮廷魔術師の間から、渡鴉に任せてみようという意見が出た。
先に報酬をよこせなどと言っているわけでもなく、手紙にはあくまで『パイロープから異変が取り除かれたあかつきには報酬を受け取りにいく』とある。
渡鴉をパイロープに向かわせて、仮に失敗したところでこちらの損害は何もないのは確かだし、
差出人がまことに渡鴉ならば、パイロープを何とかしてくれるに違いないとな」
「だから、どうしてそうなるんです?」
「黒のレイヴンっていう魔法使いはね、世界のあちこちを旅していて、魔法がらみの厄介事があるとやってきて困ってる人を手助けしてくれることで有名なんだよ」
けげんな表情のままのラグナードに、キリが説明した。
「報酬を要求したりしなかったり、面倒事があるからって必ず助けてくれるとも限らなかったり、気まぐれな魔法使いみたいだし、
何の属性の魔法使いなのかも全く不明だけど、
でも、並の魔法使いにはどうにもならないようなことでも、レイヴンが現れてまさに『魔法みたいに』解決してくれたって話がいっぱい……」
「そんなばかな」
この現代に、物語に登場する賢者のようなことをしている魔法使いが存在するなど、ラグナードには信じがたかった。
「こんな時勢に、困っている人間を助けて旅をするなどと、自分のためにならないマネをする魔法使いがいるのか?」
「うーん、それはどうかなあ」
キリは複雑な笑いを作った。