始末屋 妖幻堂
「違うよ。そんな邪悪なモンじゃない。これは狐火さね」
似たようなものではないのだろうか。
だが人外のことには詳しくない小菊は、とりあえず下手に突っ込むことは避け、その場に座り直した。
「鬼火ってのは、もっと陰湿な・・・・・・。ヒトの怨念とかが凝り固まったもんだよ。あちきらが使うのは、狐火。そのまんまさね」
説明にならない説明をしつつ、狐姫は炎に顔を近づける。
よくよく見ると、何やら文字が浮かんでいるようだ。
「ん~、ふむふむ。無事に村に入れたようだ。さすが旦さん。ちゃっかり村長の家に上がり込んでるのか」
褒めてるんだか、けなしてるんだか。
だが炎の文字を読む狐姫は、どこか嬉しそうだ。
まるで恋人からの文を読むようだな、と思い、事実千之助と狐姫を、そういう関係だと思っている小菊は、一人納得した。
「ま、まだ一日だ。何がわかったわけでもないだろ。とりあえず、無事で良かった」
本当に、姐さんは旦那様が好きなんだなぁと思いつつ、小菊は嬉しそうに狐火に頬を寄せる狐姫を見た。
だが、その狐姫の顔が、不意に険しくなる。
ぱっと狐火から顔を離し、鋭い目で炎を凝視する。
「女の匂いがする! 旦さん、里娘なんかに手ぇ出してるんじゃないだろうねっ」
物凄い勘である。
むしろ手を出されているのは千之助のほうなのだが、さすがにそんな詳しいところまでは、わからないらしい。
「もぅっ! 帰ってきたら、覚えておいで!」
狐火に向かって毒づき、狐姫は小さな炎を握り潰した。
似たようなものではないのだろうか。
だが人外のことには詳しくない小菊は、とりあえず下手に突っ込むことは避け、その場に座り直した。
「鬼火ってのは、もっと陰湿な・・・・・・。ヒトの怨念とかが凝り固まったもんだよ。あちきらが使うのは、狐火。そのまんまさね」
説明にならない説明をしつつ、狐姫は炎に顔を近づける。
よくよく見ると、何やら文字が浮かんでいるようだ。
「ん~、ふむふむ。無事に村に入れたようだ。さすが旦さん。ちゃっかり村長の家に上がり込んでるのか」
褒めてるんだか、けなしてるんだか。
だが炎の文字を読む狐姫は、どこか嬉しそうだ。
まるで恋人からの文を読むようだな、と思い、事実千之助と狐姫を、そういう関係だと思っている小菊は、一人納得した。
「ま、まだ一日だ。何がわかったわけでもないだろ。とりあえず、無事で良かった」
本当に、姐さんは旦那様が好きなんだなぁと思いつつ、小菊は嬉しそうに狐火に頬を寄せる狐姫を見た。
だが、その狐姫の顔が、不意に険しくなる。
ぱっと狐火から顔を離し、鋭い目で炎を凝視する。
「女の匂いがする! 旦さん、里娘なんかに手ぇ出してるんじゃないだろうねっ」
物凄い勘である。
むしろ手を出されているのは千之助のほうなのだが、さすがにそんな詳しいところまでは、わからないらしい。
「もぅっ! 帰ってきたら、覚えておいで!」
狐火に向かって毒づき、狐姫は小さな炎を握り潰した。