ライアーライフスタイル

あの時の笑顔は何だったんだろう。

感謝の言葉は何だったんだろう。

私は教室の隅っこで静かに堪えた。

唇を噛み締めて、溜まった涙が溢れたら手の甲で拭った。

クラス中の視線が刺さる中、せめて無様に大泣きしたりしないよう、床をじろりと睨み付けて、涙が最小限で済むよう静かに泣いた。

自分の顔が美しくないことは、私だって自覚していた。

だけど好きな人にそのことを揶揄されたことによる精神的ダメージは相当なものだった。

そこまで言われなければならないほど、この顔は醜いの?

堪えて、泣いて、堪えて、泣いた。

山村と周りのクラスメイトは、その顔が余計にブスだと笑った。

これで終われば、私はここまで彼を恨むことはなかったかもしれない。

私を長く苦しめたのは、このことで「つる子を堂々とブス呼ばわりしていい」という風潮ができ上がったことだった。

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