ライアーライフスタイル
私だって、人並みに恋心を抱くことは何度もあった。
恋心自体はとても淡いものだったけれど、恋愛に対する憧れは強かったと思う。
でも、相手を好きになればなるほど自分の醜さにうちひしがれた。
「つるかわ? 誰だっけ?」
「ほら、あのちょっと男っぽい名前の」
「いや、わかんないや」
高校時代に好きだった人には、クラスが同じなのに認識さえされていなかった。
「罰ゲームは弦川真咲に告白すること」
「うげぇ。俺あいつだけは無理だよ」
中学時代に好きだった男子には罰ゲームのネタにされたあげく、それすら拒否されてしまった。
そして、小学校時代。
「だってつる子、ブスじゃん」
私は女ではなくブスという生き物だ。
私が好意を持つと相手の迷惑になる。
思いに気付かれたら嫌われる。
私にとって誰かを好きになるということはそういうことだった。
だから私は、もう誰も好きになりたくない。
整形した今なら愛し愛されることも可能かもしれないけれど、私はもう、恋をするという感覚自体を忘れてしまっている。