中指斬残、捌断ち儀
「イスズさんは、はなまるいっぱいもらっていたの?」
「答えるのが難しいな。私は人間とは違うから、義務教育なんだりがなかった。人間社会にも溶け込まないし、私の役目は一つしかないから」
「んー?」
「まだお前には難しかったな。私については……そうだな。お前が自分の名前を漢字で綺麗に書けるぐらいなったら、教えよう」
彼女の正体を知るのが、後の話になったのは言うまでもない。『春夏秋冬』はともかく、『渉』に関しては小学校では習わない漢字だ。もっとも、習わずとも自分の名前だから中学進学前に書けたわけだけど、彼女の素性はある程度の成長した頭でも理解できるものではなかった。
それでも僕が、未だに彼女との接点を持つのは、彼女本来の姿に憧れやら好意やらを抱いていたからだけど。彼女が何であれ、僕の恩人には変わりないんだ。