中指斬残、捌断ち儀
頷いたところで、左側に春夏秋冬の家に繋がる石階段が目に入る。
この上です、と言うべきタイミングに迷っていれば――五十鈴さんは、平然と、“素通り”をした。
「あ……」
「ん?」
そう言って五十鈴さんの首だけが後ろを向く。あいている右目側がこちらに来たため、左側とある階段は完全に視界外となっているだろう。
「ここ、このうえです」
「ここって何も……っ!」
五十鈴さんの動揺が背中から感じられた。
しばらく硬直して、何かを考えているよう。
僕の住む家が、神社のような造りに驚いているのだろうと、その時は思ったが。
「そうか、だから……」
思考がまとまったのか、五十鈴さんが「この上だな」と聞いたあとに、石段を踏みしめた。