中指斬残、捌断ち儀


事実としてそうなのだろう。


春夏秋冬の家――その家が建つ土地は特殊な部類に入っていた。


曰く、家主に招かれねば誰も訪れることができない神脈。


道端の石に見向きもしないように、春夏秋冬の家も“誰からも意識されない場所”にあったのだ。


それは単に、人気がない、滅多に誰も来ないから認知されないことも含むかも知れないが、恐らく、五十鈴さんはこの時初めて、『ここに建物がある』と認識できたんだろう。


伯母さんの『誰にも教えてはいけない』という言葉が、この神脈の効果を知ってか知らずかは分からないけど、少なくとも僕が住んでからは、家主に招かれずにして一人でこの家を訪れる人というのは、“反則的な人以外”ならばまったくいなかった。


< 268 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop