中指斬残、捌断ち儀


「渉、着いたぞ」


僕ならば毎回上がる度に息切れする石段を事も無げに上り終えた五十鈴さんは言う。


「悪いが、ここから先は一人で行ってくれ。お前の伯母さんと……いいや、私はあまり人間と関わってはいけないから」


詫びを入れながら、五十鈴さんは僕を下ろそうとするが――背中の少年は無言の駄々をこねた。


背中から降りようとしない。まだお話したいの現れであり。


「オバさん、いないから」


五十鈴さんの心配の種はいないから、大丈夫と、一緒にいてほしいことを遠回しに言った。


いつもならば、『忙しいんだ。また今度な』と指きりしたあとにお別れだけど、この日の僕は風邪っぴき。


熱ある子供を一人でいさせるのは気が引けたんだろう。


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