中指斬残、捌断ち儀


「……。お邪魔します」


律儀な五十鈴さんだった。カギがかかっていたのだから、中には誰もいないと分かっていても、人間と関わることを制する身としては、家に入ることに恐る恐るの文字を出してしまうのかもしれない。


無論、彼女の挨拶に家の中から応答はなかった。僕が、『どうぞおあがりください』と言いたくなるほどになる。


「渉、下ろすぞ」


足は靴脱ぎ場に置きながら、廊下に腰かけた五十鈴さんが僕から手を離す。


下ろされたならば僕の足は廊下につくわけだが。


「……」


ぐってりと、溶けた飴のように僕は五十鈴さんの背中にまだくっついていた。


「おい、大丈夫か」


首から肩に雪崩れた僕の手を五十鈴さんは掴み。


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