中指斬残、捌断ち儀
「寝室――お前がいつも寝る部屋はどっちだ」
「ここひだりに、つぎは、みぎにいって。とちゅうで、ふすまがあるから」
そこですと言う前に、五十鈴さんは家の奥へと進んでいく。
「……、すごい罪悪感があるな」
胃がキリキリするとも言いたげな、唸る小声だった。
マナーに関してはきちんとした五十鈴さんにとって、人様の家に勝手にあがるのは気が引けるどころかかなりのストレッサーに決まっている。
便宜上は、僕を思っての親切心と家人たる僕の了解も得ているとそれなりの正当性を見つけられたとしても。
「渉が眠ったら、私はすぐに帰らせてもらうからな」
変なところで小心者の五十鈴さんだった……
もしかしたら、自身がしているマナー違反に胃潰瘍にでもなるところだったのかもしれない。