中指斬残、捌断ち儀


それでも、渉が心配でならないとマナー違反を頭の外から追いやりつつあるのは、彼女の思いやり精神に他ならない。


そんな彼女だから存分に甘えてしまう僕は、子供すぎた子供でしかないけど。


「……、ここか」


僕の部屋へと続く襖の前に立つなり聞いた五十鈴さんの声は、『まさか』と己で否定したいような含みがあった。


襖を見て――いいや、襖に貼ってあるお札を見て、固まってしまったのだろう。


言わずもがな、僕の呪い対策のお札だ。効果のほどは知らないけど、伯母さん曰く、『頭冠様から受け取った、呪い封じの御札』だとか。僕にとってはただの紙でしかなく、襖に貼ってあろうが、『お飾り』とシール程度のものとしか見ていなかった。


< 274 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop