中指斬残、捌断ち儀


大切に想う僕自身がこんな考えを持ち続けてしまえば、五十鈴さんの想いが“無駄骨”でしかなくなる。


それでも五十鈴さんは僕への気持ちを変わらずに、ますますもって、僕の価値やら尊厳の大きさを尊重しそうになるが――自身の首を自ら絞めているような僕の心境を見て、五十鈴さんが悲しむのは嫌だった。


堪えられない。
死ねない体で、死にたくなってしまうほどに。


一度だけ、五十鈴さんが伯母さんの放置ぶりにネグレクトの言葉を関連付け、「この家が嫌なら、お前自らの意思で出ていくこともできるんだぞ」と教えてくれたこともあった。


子供は育ての親のもとでしか生きられないのは間違いであり、社会というのは弱者に優しい作りとなりつつある。ざっくり言えば、児童相談所なんてものが、僕を救ってくれるかもしれないと言われたけど――僕は拒否をした。


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