中指斬残、捌断ち儀
新しい環境でやっていける自信がなかったんだ。
僕の呪いはまとわりついたままだし、いくら『周りに危害はない』と言われても、爆弾を抱えたまま、どこかに行く気にもならない。
爆弾は火をつけなければ安全であるが、持っているだけで恐怖の対象だ。いくら周りがその爆弾に気づかずとも、“持っている僕は気が気ではない”。
もしかしたら、何かの拍子に爆発して誰かを傷つけるかもしれない“危険物”を所持しているだなんて、思ったよりも神経がすり減ることだ。
すり切れなかったのは、唯一安息である五十鈴さんがいてくれたからだけど――ともかくも、そんな状態でまた見知らぬ地に“置き去りにされるのは嫌だった”。
そもそもの話として、僕は伯母さんの行為を虐待だなんて思っていない。伯母さんが悪いだなんて思ってないし、逆に、『もっときちんとしなくちゃ』と姿勢を正す思いとなっていた。