中指斬残、捌断ち儀
もはやここまでいくと、伯母さん=絶対的な存在になりそうなものだけど、そこは五十鈴さんがいてくれたから、僕は僕自身の自我を持つことができた。
優位であるのは伯母さんに違いないけど、喜怒哀楽が壊れなかっただけましか。ほとんどの感情を表に出さない僕だけど、感情があるだけ凄いことだ。
仮にも伯母さんが絶対的な存在ならば、僕の自我(感情)というものも“伯母さんが決めただろう”から。
反抗期がなかったもう一つの理由が、伯母さん相手には下の立場でいなければならないと怯えていたのもあるか。……なんとも情けない話だけど。
優劣をはっきりさせられた中での生活が続いたからか、僕は反抗心を抱いたことはない。
ただ――憎悪なら覚えた。この時じゃない、もっと先の時。
たった一度だけ抱いた憎悪の引き金となったのが、乾いた笑い声を出す男――僕の重要点となった人が、10歳の夏休みに現れた。