中指斬残、捌断ち儀


伯母さんがヒステリックなのは知っていたけど、最近は妙にカリカリしていた。


廊下ですれ違うだけでも圧迫感があるような。何か面白くないことでもあったんだろう、きっと。


そこから考えるに、今日の“浄め儀”は長引くと思った。


玄関前に裸足のまま投げ出され、伯母さんは家屋の中に戻る。


水を持ってくるのは分かっていたので、取り決め通りに僕は地面の上に正座をした。


10月半ば、パジャマで外にいるのは少し肌寒い。それでも地球温暖化のおかげで風邪を引くまでにはいかないかと、僕は膝上に行儀よく手を乗せた。


荒い足音がこちらに向かってくる。ここから先は、顔をあげてはいけない。


何が混じっているか分からない水を眼球に浴びせるわけにはいかないのもあるけど、僕の顔を見ると伯母さんは決まって『餓鬼のような顔だ』と“浄め儀”に拍車をかけてしまうから、僕はずっと下を向いたまま、伯母さんの気が済むまで固まっているしかなかった。


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