中指斬残、捌断ち儀
「――」
心臓が止まる。
玄関先――伯母さんの後ろに、あの嫌な笑みを浮かべる人が立っていて。
「な、ん……」
「あたしに口答えするつもりかっ、まだ邪念を祓っていないのだから、黙せよ!頭の中で経を読み続けなさい!」
命令形の言葉で意識せずとも、声は出なくなった。
砂を蹴ってかける伯母さんが、お経を唱えはじめて、後ろの人――藤馬さんが、自身のこめかみに人差し指を置いて、小馬鹿にするようにぐりぐり回す。
『頭、イカれてんな』
と、あの声が僕の耳だけに聞こえたような気がした。
存在感がある藤馬さんに伯母さんはまったく気づかないのを見て、何かしらの反則技が今のあの人にかかっているのかと思って、気づかれないことに安心するよりも――