中指斬残、捌断ち儀


僕の返しに面白くなさそうな顔をしつつも、藤馬さんは「まあ、教えてやってもいいか」と下らなそうに答えてくれた。


「今更、今更ねぇ。べつにー、俺は“今まで通り”だったんだけどよぅ」


「今まで……?」


「わたるんの悲惨ぶりみてえから、今まで覗き見――俺が見てると分かれば、わたるん強い姿勢でいようとすんじゃん?

だから、見つかんねえよーに、“誰にも意識されない術”を俺自身にかけていたんだが」


だから伯母さんが始終、藤馬さんの存在に“見向きもしなかったのか”と僕の予想が当たっていたのを知る。半分だけ。


「“誰にも”……」


“伯母さんに意識されない”ではなく、“誰にも意識されない”とは、対象者が僕にまで及ぶ術なのか。


< 445 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop