中指斬残、捌断ち儀
『――、泣けんじゃねえか』
そう言った藤馬さんの声が、ひどく優しく聞こえてしまったのだから。
罵り嘲りから一転しての怒声とて、“化け物と言われたことを真に受けて、そうなってしまった僕の間抜けさ”に怒ったんだと思う。
なんだか、思う思うばかりで何一つ根拠はないんですけど、僕は藤馬さんをやっぱり家族として迎え入れたかったんです。
僕にはもう、五十鈴さんと藤馬さん以外に話す相手なんていないから。
「……」
日の落ちかけか、窓から差し込む橙色に暗さが混じる。
色々と考えている内に六時近くになったらしい。プリントの空欄はまだ半分以上もある。
やり出したなら最後までやるべきだけど、今日はどうにも調子が出ないと僕はプリントと下敷きを部屋の隅に置いた。
今日は土曜で明日は日曜。週休二日が当たり前で、明日もまた宿題をやる猶予はあるかと気を揉むことはしなかった。