中指斬残、捌断ち儀
気がかりとなったのは、居間から伯母さんが移動していないことだ。
耳をそばたてるようにしても、廊下を踏みしめる音はせず、居間から微かな生活音があるだけ。
一時間近くもお茶を飲んでいるのか、と考えるも、居間は暇を潰せるような娯楽品はなかった。
囲碁盤はあるけど伯母さんが碁を打つのを見たことないし、娯楽の常套たるテレビが春夏秋冬の家にはない。
コタツと茶箪笥しかないような居間に長時間居座るなら、伯母さんは自室に籠って、頭冠様の教えというやつを暗唱していても良さそうなのだけど。
「……」
どのみち伯母さんがまだ居間にいるようなら、台所には行けないなと僕は図書館から借りてきた都市伝説忌憚という本と五十鈴さんから貰った手帳を手にする。