中指斬残、捌断ち儀
五十鈴さんの手帳に書くのは、もっぱら都市伝説――怪異系のものを簡易的にまとめたものだ。
怪異の名と特徴。主な出没地。弱点あたりを書いたもの。
今日は『くねくね』という都市伝説から調べようかと本を開いたところで――居間から出る足音を聞いた。
ぎしぎしっ、と規則正しいながらも、どこか荒っぽい踏みしめ方、伯母さんの機嫌の悪さを物語っているようだった。
朝のことをまだ引きずっているのか。宗教団体に行ったならば、そこで伯母さんが言うところの『邪念』を取り払って、帰ってくるにあたり『清らかな心』になっても良さそうなのに。
ヒステリック末期なんて言葉があるか分からないけど、僕の頭には足音だけで、息を鼻で大仰にし、奥歯を噛み締めて顔を歪めた伯母さんが連想できた。