中指斬残、捌断ち儀


威嚇する獣を刺激しないようにと、僕は物音を立てないように体を固めた。


荒い足音は自室に戻るのかと思いきや、徐々に“大きく聞こえてくる”。


「……!」


こっちに来ている――


分かった瞬間に固めた体が、ぶるっと震えた。


まさかと、伯母さんが邪念(僕)を隔離する部屋にわざわざ来ることなんかないのに。


だんっ、と大きく開け放たれた襖に、僕は小さく悲鳴を上げた。


「来なさい。“浄め儀”をします」


襖に手をかけたままの伯母さんは、僕の連想した顔通りに苛つきを出していた。


声だけならば冷たくも、少し捲れば煮えたぎった油が見える気がする。


「……、はい」


一日に“浄め儀”を二回行うのは珍しいことではないし、反抗する余地さえもなく、僕は立ち上がった。


< 481 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop