中指斬残、捌断ち儀


今朝にあった感情がまたわき出てきた。


叫びたい、訴えたい。なのに舌の根が引っ込み喉を塞ぐ。


何を声に出したいのか分からないのに、“声を出さないようにしている僕”は本当は分かっているんじゃないのか?


自分自身が見えない。それとも見えないふりをしているのか?


幸福と不幸の判別。

当たり前と普通じゃないの区別。

喜ぶ時と悲しむ時の分別。


それらのことが人間なのに備わっていない僕は、ああ、どうして、“こうなったんだろう”。


百々渉は何を望んだ。

春夏秋冬渉は何を叶えた。


幼い頃、僕はまた楽しく家族全員で暮らしたいと、そのための段取りとして伯母さんに預けられたけど。


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