中指斬残、捌断ち儀
『明子は一年前に。貞夫は二年前に』
僕の家族は新しい家族を得た。
幸せだ、と伯母さんは言った。僕がいなくなってから幸せになったと。
悲しかった、悲しくて仕方なかったけど――泣かなかった。
泣くまでには至らないんだ、藤馬さんの怒声で泣けたのに――両親がいつの間にか新しい家族と幸せにやっている事実にはきちんと泣けなかった。
ああ、そうだ――
幼い頃の僕が望んだのは楽しい家庭じゃない。
“もう泣かなくてもいい家庭”だった。
誰も苦しまず、僕でさえも泣かないような家庭が欲しかった。
元通りにと願ったけど、元通りにならないから僕は春夏秋冬の家で“泣かない家庭”を作ろうとしたんだ。