中指斬残、捌断ち儀


「させてなるものかっ、あたしは選ばれた、幸福になれるんだから……あんたなんかにっ、あんたたちなんかにぃっ!」


“手応えがあったこと”に喜美子は高揚した。思い通りに行くと、それこそが私の人生のあるべき形だと“元通りになりつつある生き方”に更に口端を歪める。


幾重もの蝮が重なったようなしめ縄が渉の首に痕を残そうとした時、喜美子は“変なものを視た”。


歓喜しそうになった口元が呆けるほど、喜美子は“どこを見ても視界真ん中にある影を見ていた”。


窓の汚れのようだ。
景色と同化し、あるはずない汚れを外に作る。


けれども窓なんかない。あるのは眼球、眼球に貼り付いた黒がぞわぞわと蠢いていた。


「なっ……」


こんなものがあるはずないと目を閉じても、変なものはいた。目を開けても、閉じても、目隠ししても――渉がやっていたことの二の舞をする喜美子の視界からは一向に眼球に貼り付いた変なものは消えなかった。


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