中指斬残、捌断ち儀
「ひっ」
ひきつった声を溢しつつ、喜美子は後ろへと――半ば転がるようにして、渉から距離を取った。
身を丸めている渉が離れたことにより更に小さく見えるも、視界の真ん中にいる変なもの――黒はそのまま、喜美子から離れてはくれない。
ぞわぞわと千の羽虫がひしめきあっているような胴体。大木とも思えたが、それには“手があった”。
木の枝のようだった細くて短いものが喜美子に向かって、じくじくと大きくなる。
培養液に漬け込んだ菌を思い出した。繁殖していく菌を早送りで見たかのように寒気立つ。
視覚からではなく、毛穴から侵入していくような気持ち悪さ。成長した長い手――“中指がないやけに長い指”が喜美子の額に触れてきた。