中指斬残、捌断ち儀
それは、あり得ない。
『ガキは、幸せになんかなりたくねえのに』
幸せを感じることに嬉しいと思うのは嘘じゃない、けれども時が経てば僕は思う。
僕の幸せでは、何かが犠牲になっているんじゃないのか、と。
逆説、僕が不幸になれば、何かが救われるのではないかに繋がってしまう。
『僕が、いなくなれば』要はこれであり、『僕が、いなかったとしたら』で自身の価値を見出だせなくなる。
『裏表なんぞ、あいつらにはない。きもちわりぃぐれえの善人な奴らは、疑うことを知らねえんだよ。どうして思える?“今目の前で笑う少年が、心では悲しさを覚えている”ってよぅ。
分かる?わーかーるー?期待を裏切ってんだよぅ、てめえは。裏表ねえ奴らの前で、裏あってひた隠すたあ、そりゃあ居心地わりいわ。
わりい、悪い。素敵な毎日をくれるあいつらに対して、てめえは――』