中指斬残、捌断ち儀


罵りの単語ごとに連続で右左と拳を入れられたが、どれもが未突破。弾かれ、あるいは受け止められと、僕の前にバネつきの壁でもあるのか――


「馬鹿の一つ覚えみたく、まったく懲りずに続けてしまうっ。救いようのない世話焼きなんだよ、私は!」


ゴキリッ、と五十鈴さんの指先から怖気たつ音を聞いた――


「だから、誰も救えないんだ……!」


握力をなくした手のひらが開く。その人差し指が第二関節からみるみる腫れていくような気さえしたが、すぐに握りしめられて。


「馬鹿だろう、笑えるだろう、何もいいことなんかない、自分も他人も良いことなんかないはずなのに――」


それでもやってしまうと馬鹿の一つ覚えを体現したように、五十鈴さんは殴る行為をやめなかった。


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