中指斬残、捌断ち儀
彼女を、止めたかった。
「やめ……て」
見るも無惨になる傷だらけの拳を――。
「や……、ちが」
――いや。
「ちがっ、五十鈴さんは」
止めたかったのは、その言葉。
「私は、お前のために何もできな――」
「そんなんじゃない!」
言葉が、破裂する。
喉につっかえていたものが一気にわき出て、
「ちがう、違う違う!そんなんじゃないっ、あなたはそんなんじゃないでしょう!僕は一度も、五十鈴さんを迷惑だなんて思ったりしていない!」
距離を置きたいと思ったことはあれど、それは五十鈴さんの迷惑になると――五十鈴さんへの遠慮から来たものであって、僕は一度も彼女を邪魔とは思っていない。