中指斬残、捌断ち儀
助かるんだ。
故に、生きたいと――
「――、ああ」
“幸せのままで生きていきたい”って、初めて思えた。
このまま、この世界で、彼女と、みんなと、笑って笑って、そんな温かい毎日を過ごしていたいって。
「もう泣かなくていい、阿呆んだら」
上げた肘が下がる。その先の手がしなるように僕の頬に――
パチンッ、と。
「――」
微かな音に些細な痛み。それに驚いたのは五十鈴さんだったか。虚脱したまま、足に力が入らなくなったかそのまま崩れ落ちる。
咄嗟ながらに支えた体は、とても軽かった。
暑い夏の日、僕を背負った時よりも華奢に感じられて――ああ、成長したんだ、僕は。