中指斬残、捌断ち儀
姿勢が悪い体でも、ぽっくり下駄つきならやけに高く思える身長。それ以前に、僕に被さる藤馬さんの影が息をするのも許さないような重圧感を持っていた。
覚えある感覚。
蘇った記憶は、“殺される”と思ったこの人との初対面。
「いっちょここらで、最大の不幸拝んどくか?」
言うや否や、あの時のように束の扇で頬を殴られた。
まったく同じ痛みとは言わないものの、痛いは痛いとしか言いようがない。
歯の一本が抜けなかっただけでも良かったが、頬を抉った一打は踏ん張り耐えられるものでもなく、体が吹き飛ぶ。
「ぐっ……!」
殴り飛ばされた身からひしゃげた嗚咽。参道に叩きつけられ、内臓が口から一気に出てくるような錯覚を味わった。