中指斬残、捌断ち儀


身の毛がよだつ、鳥肌が体を蹂躙していくような、その分、彼は“本気だ”というのを肌から教えられているようで。


「はい、まず腹ーっ」


固い漆塗りの厚底が、腹部にのし掛かる。


「ぃ、がっ……」


視界の色が混ざった。

意識が跳び跳ねたと言っていい、きっと脳内はなじられた胃の中を再現している。


胃の内容物が吐瀉物に成り代わる前。


「つぎ、胸ーっ」


逆流する食道のベクトルがまた変わる。


胸に受けた圧迫のせいで、食道(ルート)が潰れた。戻り損ねたものが行き場をなくしてたむろするような。


「はっ、ぁ……」


もちろん、イメージでしかない。体の中のことなんて解剖でもしなきゃ見えないけど、内臓が縮む。恐れて震えて、“次は何がやられる”と痛みが危険信号を出している。


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