中指斬残、捌断ち儀


遅すぎだよ、バカ。


「っ、ハッ……」


誰かを――大切な人を傷つけたくなかったら、僕を傷つけちゃいけないのに。


「く……」


「あ?」


唾を吐き出したあとに、僕を踏んでいた足を掴んだ。


体が立ち上がらない、手と顔だけしか上げていないので、端からみればひどく滑稽だろう。


強者にすがり付く弱者の形。許しを乞うて、泣きむせぶような体たらくぶりでも。


「とうま、さ……っ」


言わなきゃいけないことがあった。


許してくださいではなく、やめてくださいでもない。だって、藤馬さんは“またこの家でせんべいかじるだろうから”――


「僕の……のろ……」


いつもの小生意気な態度で、僕とお茶を飲むんだから、それをずっと続けるために――






「っ、僕の呪いを、といてください……!」





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