中指斬残、捌断ち儀


見せる――
それは何も渉に見せるというわけでもなく、縛りたいのは中指の呪物(守り)だけだ。渉と五十鈴は知らないだろうが、この場に藤馬がいたことを先に気づいたのはあの呪物であろう。


だから見せた。
そうして引っかかる。


簡易の捕獲網を投げた程度のことだが、呪縛(のろい)は呪縛(のろい)。それを解くには藤馬しかできないだろうが――やはりそれでは合点がいかない。


渉は言った。
『僕の呪いを』と。


赤彼岸花をかけたのはあくまでも、中指の呪物だ、渉ではない。そうして渉にかかる呪いとは一つだけ。


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