中指斬残、捌断ち儀


空いた手で、渉の髪を掴み、引っ張る。


真正面を向かせ、距離を近く。“お前が相手してんのは誰だ”と教えつけるような藤馬は、決して渉にとっていい結果をもたらさないというのに。


「といてくだ、さぃ……」


少年は懇願する。


「呪いを、ぼくの……といて……」


涙ながらでも、諦めたくない意思が宿る目は色があった。


罰を求め、なるべくなら死にたく、自身のことなどどうでも良かった少年にはひどく不釣り合いな、そんな――


「僕の呪いを、解いてください……!」


藁にもすがりたいほどに、生きたいと願う目。


死にたくないと生に執着するやつはざらではない、その人生が幸福であれば幸福なほど、死は最大の恐怖。


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