中指斬残、捌断ち儀
そんな奴らは決まって、“生き汚かった”。浅ましい匹夫、愚かしい匹婦。何がなんでも何としてでも生き残りたいと、躍起になって死から逃げよう奴らは見たことあるが。
今の渉は生き汚なさとは無縁のように思えた。
何が違う、生きたいと願うならば同じこと。死から逃げたいと他人すがり、時には他人を蹴落としてまで、“自分のためだけに生きようとする奴”は滑稽でしかないのに。
「てめえ……」
細い首筋に指を回した。
ぎゅっと圧迫したた藤馬の指が、渉の口からドの音を――低く唸った声を奏でる。
「また他人のためかよ、自分をないがしろにして」
だとすれば、生きたい動機としてはひどく弱いもの。他人が生きろと言うならそうするだなんて、なら息するにも誰かの許可が要ることになろう。