中指斬残、捌断ち儀


それこそ中途半端にするのは徒労(デメリット)が帳消しになるメリットがあればの話。


現段階、そんなものは見当たらず、このまま殺してもいいかと思ったが。


「っ、ぼ、く……か……!」


気道が狭まった声は聞き取れない。しかし、何か言おうとしていたのは分かった。


今度こそ命乞いか、なら聞いたあとで殺してやるかと藤馬の指が緩む。


緩めたことで僅かに下がった体を落とさないように持ち直す。


「ちっ……」


その舌打ちは、持ち上げた腕が疲れ始めたからだ。


無理もない、人ひとりを片手で、しかも首から持ち上げるだなんて。


「――」


だから、『重たいな』と思ったことが、“場違いな思考”だった。


重たい?
確かに重たいが、持ち上げられているじゃないか。


17歳男子となれば、それなりに図体は良くなっているだろうが、渉は見るからに小柄。下手したら体重は五十鈴と同じかそれ以下と見ていい。


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