中指斬残、捌断ち儀


江戸時代後期から続く儀式の犠牲者。


死んでから今までとなれば、実に200年以上も憎悪を溜め込みかつ成長してきた、いわば一つの歴史だ。


藤馬が弱いことなど決してない。けれども、相手が悪かったのだ。


一世紀も生きてこなかった最強が、歴史(人間)の災悪に対して後手に回るのは自明の理。


藤馬とて分かってはいた。時間の法則はどうあっても曲げられないし、蓄積された年月(憎悪)が増大すぎて、一筋縄ではいかないと見定めてはいたんだ。


この場所に呑み込まれた時から。傷をつけられてしまえば、それは藤馬の最強説にもひびを入れてしまう傷となろう。


「と、藤馬っ!」


「――ハッ」


五十鈴の声に鼻で笑ったのは、自身でもよく分からなかった。


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