中指斬残、捌断ち儀


脳に繋がる視神経が、“引き抜かれる感覚”。雑草を引き抜くイメージか、土という頭に根付いた幾本の管が一気に外界の空気に晒された。


「うそ、そんな……」


絶叫のあとに訪れた彼の人の沈黙には、そうも言いたくなる。


あまりにも馬鹿げていた。死なないと思っていた奴がああも簡単に、動かなくなるだなんて。


「とう、ま……、藤馬っ、藤馬!藤馬ああぁっ!」


あり得ないことを否定する声はひたすらにその名を呼ぶ。


間違いだと、冗談だと、何よりも本人の口から言ってほしくて。


「とうま、さん……?っ、藤馬さん!」


あの威勢良い声が絶叫あとで聞こえなくなれば、目隠しをされた渉とて最悪な事態を想定してしまう。


何よりも、五十鈴がああも涙を付属した音色を奏でるから。


「そんな、藤馬さん!こんなっ、だっ、だって、藤馬さんは……!」


――ねえ、嘘ですよね?


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