中指斬残、捌断ち儀
「そんなわけないっ、藤馬さんは強くて、反則なぐらい強くてっ、だから、だから……!ねえ、藤馬さんっ!」
踏み階段の五段目(終点)に片足を乗せたまま、それ以上は進むまいと渉は踏ん張り、必死に呼び掛けた。
五十鈴同様に、何かの冗談だと思って。
これからされることに渉は恐怖していたが、今となっては藤馬からの返事がないことばかりの焦燥が目立つ。
「藤馬さん、藤馬さんってば……!そんな、冗談っ、やめ……、やめてくださいよ!お願いですから、またいつもみたく、ちょっかいでも罵倒でもいいですからっ、きちんと相手してあげますから、だ、から……!」
――どうして答えてくれないの?
そんな“悪あがき”を続ける渉は見えてないからこそ、まだ大丈夫だと思えていたが、認識の情報が多い五十鈴にしてみればもはや、助からないと絶望していた。