中指斬残、捌断ち儀
「あ、あああぁっ!」
声が出ない渉の分も叫ぶようであった。
輪をかけられた渉の支えがなくなろうとしている。台座はまだ渉の足元にはあったが、小柄な体ではつま先がつくかつかないかしかない。
生と死の境がたった1mmしかないような状態、苦しいからと渉は足をつるほどに伸ばしてみせるが――思うように行かない。
しかもかその後ろで、渉を押そうと伸びる手があるのだから、あれでもまだましな方なのだ。
押された後、渉の足は宙ぶらりんとなり、首と中指の縄が一気に“がくん”となるに決まって――
「やめっ、代わる、私がっ。私がやるからぁ!」
傍観することしか出来ないから訴えた。
いくらでも代わろう、それ以上苦しい仕打ちをされても構わないから――
「私が、何でもするから……!」
渉のためならそれぐらいどうってことはないんだ、と――ありし日の言葉を口にする。
もっともあの時は言わせてもらえなかった。