中指斬残、捌断ち儀
『てめえに、んなこと言わせる奴がいるってんなら、今ここで殺すぞ』
そうやって、五十鈴の身代わりを良しとしなかった――五十鈴がそこまで思う相手を認めたくなかった奴はもう、いないから。
「私が、何でも――!」
惜しみなく二度繰り返した言葉が最後まで紡げなかったのは、予期せぬことが起こったからだった。
視界の端にあった胎児。渉のことで意識などしていなかったのに、いきなり“自分の腹の中身を引きずり出せば”、否応なしに意識の真ん中に置いてしまう。
「めいら、めいろろ?えんえんんん、いぎぎぎ……ぃ」
呪詛しか分からぬ口からは不明瞭な文字の羅列。
混乱よりは発狂に近い。
口が裂けるほどに大口を開けて、胎児は腹に溜まった中指(生け贄)を掻き出していた。