中指斬残、捌断ち儀


虫袋に穴が空く。溢れ落ちた中指は芋虫のように身動ぎをしていた。


「なー、かっ、ぎ、ぎぎ、ざんざんざんんん?いぎいぃっ」


発せられる奇声は影たちにも聞こえた。


親玉に近い胎児の突如の奇行にどよめく影ら。何が起こったんだと、人間らしくその胎児に近づく者もいた。


落ち着けとたしなめるように、されども胎児は暴れて、腹の中身が空っぽとなるなり、首を引き伸ばした。


もともと骨が折れた首はゴムのようによく伸びる。練り飴がごとく限界まで引っ張り、更にまた首と胴体の分離を計るようだった。


「なに、を……」


首と胴体が個別になって何がしたい。――いや、『何がしたい』だなんて、今まさにやっているではないか。


首をちぎりたい。
腹に穴が空いても“まだ動けたから、次は首を”。


「“死にたがって”……」


いるのかと五十鈴の推測は、すぐに当たりだと気づく。


『い゛、ぎいぃ!』


胎児に近寄った影もまた、己が首を引きちぎろうとしていた。


< 966 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop