わたしとあなたのありのまま ‥3‥
大して派手でもないのに、普通科の公立高校には余りに不似合いで、やたらと目を引く。



噂のイケメンインストラクターか、と。遠目にぼんやり眺めていると、不意に彼が俯きがちだった顔を上げ、視線がパチッとぶつかった。



げっ……。



咄嗟にその場に屈み込んで、手摺りの影に身を隠した。

もう手遅れだけど。



というか、どうして隠れなきゃなんないのか、自分でも良くわからない。


そのイケメンインストラクターが知り合いだったからって、避ける必要性なんか全く無い訳で。



けれども息さえ潜めてじっと身を縮こまらせ、何事もなく彼が通り過ぎるのを、ひたすらに祈りながら待っている自分が居た。




「やっぱ、ほのかだ」


頭の天辺に落ちてきた穏やかな声音にも、確かに聞き覚えがあった。



恐る恐る見上げれば、予想に違(タガ)わずその人で。


ゆるゆると立ち上がって彼と向き合い、


「冬以(トウイ)……」


苦笑を浮かべながら、その人の名を弱々しく口にした。


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