わたしとあなたのありのまま ‥3‥
「もう、一生分泣いたから」


切なげな苦笑を浮かべ、冬以はボソリ、寂しげに呟いた。



冬以が最愛の彼女『ゆきさん』を亡くしてから、丁度一年ぐらいだ。

でも立ち直りが早いとか、遅いとか、そんなの私が決めることじゃない。決めていい訳がないのに……。



「ごめっ、私……」


「大丈夫。謝んなくていい、平気だから。それに、俺を立ち直らせてくれたのは――

ほのかだよ」


ありがとう、と続けて穏やかに微笑んだ冬以に、ズキリと胸の奥が痛む。



けれど。

この手は早々に離して貰わないと困る。



冬以の手首を掴んで、そうっと、でも全パワーをつぎ込んで、何とかして引き剥がそうとしてみる。



そこはやっぱり自分優先。こんなところをもし、万が一にも田所に見られたら……。



私のそんな必死の抵抗に、気付いていないはずないのに冬以は素知らぬ顔で、どうやっても離してくれない。


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