わたしとあなたのありのまま ‥3‥
「ガタガタうるせぇなぁ。誘いたきゃ勝手に誘えよ、めんどくせぇ」


田所は、眉根を微かに寄せて迷惑そうに言う。なのに冬以は、「じゃ、そうする」なんて軽い感じで返して、無邪気に笑ってみせたりするから、その場の空気が一段と険悪度を増した。



生きた心地がしないって、こういうことを言うんだ、きっと。



田所はほんの束の間、何か考えているみたいに黙ったまま冬以の目を真っ直ぐ見詰めていた。


でもすぐに、自分の手をハラリと落として、呆気なく冬以の手首を解放すると、ゆっくり身を翻してこちらに背を向ける。



そうして再び歩き出した田所。その背中がどんどん小さくなってゆくのを、拍子抜けしてしまったみたいに、冬以はポカンと眺めていた。



けれど突然、急に思い付いたように声を張り上げる。


「仕返しとか、そんなんじゃないから!」



ん? 何が仕返し? 私を誘うだのデートするだのっていう話のことか?



田所はヒタと足を止め、ゆっくりと振り返った。

やけに落ち着き払っているその様は、逆にとんでもなく気味が悪い。というか恐ろしい。


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