わたしとあなたのありのまま ‥3‥
「ほんっと、ほのかって酒弱いんだね」
帰りの車の中で、ハンドルを握る冬以が口にした一言。
小さいけど力が込められているように感じるのは多分、気のせいじゃない。
冬以にとって、目一杯の嫌味だったんだろうと思う。
「ごめーんねっ」
ふざけた感じで謝って、フニャッと笑って見せた。
「全然悪いなんて思ってないし」
ムッとした横顔がボソリと文句を言う。そして、冬以の左手がこちらに伸びて来た。
殴られる!
咄嗟に身構えたけど。
「実際、ほのかは悪くないんだけどね」と、面白くなさそうに言って、その手は私の頭をくしゃりと撫でただけで、再びハンドルへと戻って行った。
自宅の前に横付けされた車から勢い良く降り立った。
長くもないのにもつれて絡まりそうな足を、必死で前後に動かし玄関へ向かう。
鞄から鍵を出したらチャラッと、金属音が小さく鳴った。
毎日何気なくやっている開錠も、今日はどうしてだか巧くいかない。