わたしとあなたのありのまま ‥3‥
鍵穴に鍵を差し込むのに手こずっていると、

「家、誰も居ないの?」

背後から聞こえた心配そうな声。



「うん、今日お母さん夜勤だから」

鍵穴と悪戦苦闘しながら答えた。ようやく、ズブッという音がして鍵が穴にささった手応えを感じた。



「ばいばーい、とーい」

ドアレバーに掴まり倒れそうな身体を支えつつ、冬以を振り返って手を振った。ぼんやりした視界だからか、冬以の顔が酷く不安げに見えた。



「ほのか、大丈夫? ちゃんと鍵かけてよ?」


「わぁーってるって」


ああもう、呂律も回らない。怠い。眠い。早く寝たい。






家の中に入ったところまでは覚えている。

でもその先の記憶がほとんど無い。


ドサッと。何やら大きな物体が床に転がったような鈍い音と、身体の側面にぼんやりした衝撃と。


『ほのか、起きて。こんなトコで寝たら風邪引くよ?』

『鍵閉めてって言ってんのに』


バイバイしたはずなのにまだ居るっぽい冬以の声と。


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