ONLOOKER Ⅳ



「ねぇ、裏口と窓に細工したの、竹田自身だったのよ。ナツが気付いたんだけど。玄関の鍵も竹田が持ってた。校舎の見回りに、鍵なんていらないはずなのに」
「この密室は、半分竹田が作ったんだよ。あいつ、はじめから僕たちの中の誰かを襲う気で、ここに来たんだ」
「馬鹿みたいだろ? シュン先輩、下手したら一緒にユカリ先輩を襲おうって誘われてたかもな。そしたらきっと、殺人犯はあんたになってた。ユカリ先輩の花瓶は使えなかったかもしれないけど」

そんな屈辱的な言葉を吐き捨てられても、シュンは強張った顔のまま、突っ立っているだけだった。



ヨリコが何を思って、竹田を躊躇なく殴ったのか。

部室の有り様を聞いたナツが何を思って、わざわざ校舎の封鎖なんてことを考えたのか。

コウキが何を思って、計画を聞いた直後に平然とカメラの前に立ったのか。

それを思い付いてしまったら、もうそれどころではなかった。


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