ONLOOKER Ⅳ
映研部の部室で死んだ教師。
校舎に他の人間はいない。
この出来事が露見した時、映研部員が疑われるのは間違いない。
「全員共犯にすればいいやって、思ったんだよ」
出入り口を封鎖し、映研部員が外に出られない状況を作る。
そうすれば、犯人は部員の中にいるとしか考えられない。
「僕らにとって幸いなことに、校舎の中に監視カメラの類いは一切なし。携帯は圏外。明日の朝まで、誰もここからはでられないし、入っても来られない」
一つ一つ、希望の種を確実に潰していくように、ナツはゆっくりと言う。
「時間はたっぷりある。どうする? 正当防衛の言い訳でも考えるか、それとも思いきって、外部犯のせいにでもするか? 犯人はたまたま見つけた竹田を殺して、たまたま見つけた鍵で玄関を封鎖して逃走した。渡り廊下のシャッターは、そうだな、殺人犯が戻ってくるのを恐れて僕らで降ろしたことにしてもいいし。鍵は裏庭に捨ててあるから、誰が使ったかなんてわかんないだろうね。内部犯ならわざわざ鍵をかける意味がないって、そう考えるだろうから、疑われることはないんじゃない? ……警察? 入れるわけないだろ、体裁しか気にしてない大人たちが。全部握りつぶしてくれるよ、ありったけの金と権力で」